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      2021/10/28

弐千年来続く神宮の三節祭とは?

 

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三節祭とは?

6月と12月の月次祭(つきなみさい)と10月の神嘗祭(かんなめさい)の3つの祭事を三節祭といい、伊勢神宮での最も重要な祭典とされています。

神宮神田(しんでん)で実った稲の初穂を抜穂(ぬいぼ)にして御稲御倉(みしねのみくら)に保管し,これをまず10月の神嘗祭にて「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)」として神様に奉献します。
次いで12月,翌年6月の月次祭に同様に奉献されます。
五穀豊穣、 国家の安泰、国民の平安、そして皇室の弥栄をお祈りするものです。

由貴(ゆき)とは、「清浄な、穢(けがれ)のない」という意味をもつ。
大御饌(おおみけ)とは、「神饌(しんせん)」のことで簡単に言うと神様への御供え物(お食事)。

この「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)」の奉献 は、午後10時と翌午前2時の2度行われます。
6月、10月、12月の3回、それぞれ午後10時からおこなわれる「由貴夕大御饌の儀(ゆきのゆうべのおおみけのぎ)」は一般に奉拝する(見学する)ことができません。夜間の立ち入り、参拝は禁止されているため。
それでもなんとか奉拝したいと長年、願いつづけ、ようやく実現しました!

二千年来、変わらず執りおこなわれている祈りの祭典 を直接、肌で感じてきました。
どのような祭事がなされているのか?
これまでの記録を残しておきたいと思います。

6月・12月 月次祭(つきなみさい)

令和元年6月16日 内宮「ご正宮」、別宮「荒祭宮」月次祭

 22:00~ 「由貴夕大御饌の儀(ゆきのゆうべのおおみけのぎ)」斎行

内宮ご正宮前


「由貴夕大御饌の儀」終了後、宇治橋を照らす月

内宮から「おはらい町」へ

平成29年6月18日 外宮別宮「土宮」月次祭
 22:00~ 「由貴夕大御饌の儀(ゆきのゆうべのおおみけのぎ)」斎行

外宮別宮「土宮」
奉拝終了後の帰りの様子(出口を出たところ)

平成29年12月22日 内宮別宮「瀧原宮」月次祭
 22:00~ 「由貴夕大御饌の儀(ゆきのゆうべのおおみけのぎ)」斎行

内宮別宮「瀧原宮」
奉拝終了後の帰りの様子(出口を出たところ)

「由貴夕大御饌の儀」祭事の流れはおよそ以下のとおりです。

夜の祭事のため、あたりは真っ暗ですが、ほのかな月の光が差し込みます。
そして、神官のもつ松明(たいまつ)の炎もまた周囲をやさしく照らします。

木々の葉が触れ合う音、鳥や虫の鳴く声、(瀧原宮においては)川のせせらぎの音が聞こえます。

・開始時間になると、大宮司、権禰宜(ごんねぎ)以下、参員(神官)一同、列をなして参進されます。

参道の玉砂利の上を歩く音がだんだんと近づいてきます。

およそ以下の流れで祭事がおこなわれます。
・祓所にて整列し、修祓(しゅばつ)をおこなう。つまり、お祓いです。
・神饌の櫃(ひつぎ)をお社・御宮の前へ。(御供え物を運ぶ)
・御宮の扉を開ける。
・献饌の儀(初回)。神様にお酒、神饌をお供えする。
 お酒は3回に分けて供する。
・祝詞(のりと)を奏上
・神官一同 奉拝(奉拝八度拍手両端)
 起拝を四回(立ち・座す・礼を4回繰り返し)、その後、座した状態で拍手を八回、その直後に軽く短い拍手を一回、そして座したまま一拝。
・献饌(その二) 2回目の献酒
・奉拝拍手一端
・献饌(その三) 3回目の献酒
・奉拝拍手一端
・撤饌の儀。御供え物を下げる。
・神官一同 退下

※神饌・御供え物
 時季によっても異なりますが、基本的には、以下の約30品目と言われています。
 ・米
 ・塩
 ・お酒(白酒、黒酒、 醴酒、清酒)
   白酒(しろき):いわゆるドブロク酒
   黒酒(くろき):白酒を木の炭で染めた秘伝の酒
   醴酒(れいしゅ):粥状(半固形)の酒
 ・菜果(野菜、果物)
  原則、漢字で書けないもの、臭いの強いものは避ける。
 ・魚介
  伊勢エビ、鯛、アワビ、干鮫(干したサメの肉)など
 
※古代においては、火無浄酒(ほなしきよさけ)と呼ばれる” 粢 “(しとぎ:米を水に浸して砕いたもの)に上御井神社(かみのみいのじんじゃ)の井戸から汲んだ水を加えただけの酒と、火向御酒(ほむけのかんみき)と呼ばれる甘酒の二種類を醸造したとされる。
火無浄酒/粢酒などは縄文人(国津神)や弥生人(天津神)による口噛み酒であった可能性か

※御供え物の種類写真(Sample)
 ↓

ご神饌(※写真は、「神嘗祭」での神饌の例)

「由貴夕大御饌の儀」 の翌日は、正午から 「奉幣の儀」がおこなわれます。
これは、天皇陛下の遣いである勅使(ちょくし) が「幣帛(へいはく)」という五色の布や織物などを奉納する祭事です。
 
令和元年6月17日、内宮での「奉幣の儀」の様子を撮影しました。

奉幣の儀~ご正殿に向けて参進~
奉幣の儀~祭事が終わられて斎館に向かわれる~

10月 神嘗祭

毎年10月におこなわれます。

まず、昼間に「初穂曳き」の行事が執り行われます。
その年に収穫した稲穂を神様がご鎮座される社まで運ぶ行事です。

先に、外宮にて稲穂を乗せた山車を曳いて運ぶ「陸曳き」をおこない、
続いて、内宮にて五十鈴川を船で曳いて運ぶ「川曳き」をおこないます。

その夜には、「由貴夕大御饌の儀」(ゆきのゆうべのおおみけのぎ)が斎行されます。

今回、一日神領民として外宮領・陸曳への参加、そして由貴夕大御饌の儀への参列(奉拝)をさせていただくことができました。

平成30年(平成最後の神嘗祭)

初穂曳き

外宮領(陸曳)
日時: 平成30年10月15日(月曜日)10時00分~12時00分
場所: 高柳商店街~県道伊勢南島線~外宮

内宮領(川曳)
日時: 平成30年10月16日(火曜日)10時00分~14時30分
場所: 五十鈴川~内宮
浦田橋下手出発10時00分~内宮宇治橋14時00分到着予定

伊勢市観光振興課情報

神嘗祭
■豊受大神宮(外宮)
 由貴夕大御饌 10月15日(月)午後10時
 由貴朝大御饌 10月16日(火)午前2時
 奉幣     10月16日(火)正午
 御神楽    10月16日(火)午後6時
■皇大神宮(内宮)
 由貴夕大御饌  10月16日(火) 午後10時
 由貴朝大御饌  10月17日(水) 午前2時
 奉幣      10月17日(水) 正午
 御神楽     10月17日(水) 午後6時

由貴大御饌の儀の流れは月次祭と同じです。

ただ、外宮・内宮での主要祭事においては、別宮と違って、大宮司、権禰宜以下の参員の神官に加えて、祭主 黒田清子さまが先頭となって参進され、儀式をとりおこなわれます。
黒田清子さまは、平成天皇のご長女で、第62回式年遷宮を機に、ご高齢となられた先代の祭主 池田厚子さま(昭和天皇の四女)から臨時での祭主となり、それ以降、正式に祭主となられました。

今回の外宮神嘗祭での「由貴夕大御饌の儀」においても、黒田清子さまが祭事を執り行われましたが、間近で拝見することができ、感激しました。
凛としたお姿が印象に残っています。

外宮 初穂曳(陸曳)

(伊勢市観光振興課より)
陸曳@外宮前に到着
台車に稲の初穂が積まれている。
稲の初穂(外宮に御奉納)

内宮 初穂曳(川曳)

(伊勢市観光振興課より)
川曳(上流)
川曳(途中休憩)
舟に稲の初穂が積まれている。
掛け声と合いの手

外宮 神嘗祭 由貴大御饌の儀

祭事前の外宮本殿
祭事が終わった後の深夜の外宮前

祭事の様子はこちらをご覧ください。

神嘗祭の様子(伊勢神宮HPより)
 

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