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      2021/10/28

弐十年に一度の若返り~式年遷宮~

 

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伊勢の神宮では、20年に一度、社殿の建て替えがなされます。
この一連の祭事、行事を「式年遷宮」といいます。

「式年」とは、定期的に
「遷宮」とは、宮(御社)を遷すことです。

一口に式年遷宮といっても33の御祭りからなりますが、祭事のクライマックスは、旧社殿から新社殿に御神体(八咫鏡:やたのかがみ)を 遷す「遷御の儀」です。

約1300年前、天武天皇の頃より始まり、持統天皇4年(690年)に第1回がおこなわれたとされ、平成25年には62回目の遷宮がおこなわれました。
この平成25年の遷御の儀については、テレビのニュースや特集でご覧になった方も多いかと思います。

20年ごとに式年遷宮を行うことは、『皇太神宮儀式帳(こうたいじんぐうぎしきちょう)』に「常に二十箇年を限りて一度、新宮に遷し奉る」、『延喜太神宮式(えんぎだいじんぐうしき)』に「凡太神宮は、廿年に一度、正殿宝殿及び外幣殿を造り替えよ」と記載があります。
さらなる詳細は伊勢神宮の公式HPに譲ります。

1,000年以上もの間、綿々と続いてきた儀式はどのようなものなのか?

この遷御の儀をどうしても奉拝(見学)したい!
どうしても行きたい!と常々、願っていました。

いろいろと調べてみたのですが、外宮、内宮の「遷御の儀」への参列(奉拝)は、まず私なんぞは到底、無理だということが分かってきました。

それでもなお、諦めきれずに強く願い、探し行動していると不思議とご縁ができ、別宮の遷御の儀を奉拝するチャンスをいただくことができました。
「どうしても行く!」と決めて探し続けると道ができるものなんだと感じました。

結果として、別宮「瀧原宮」の遷御の儀を奉拝させていただきました。
どのような祭事で何を行うのか?そして、参列させていただけた感謝の気持ちを忘れないようにここに記しておきました。

外宮・内宮での遷御の儀

内宮、外宮それぞれの式年遷宮の「遷御の儀」に招待されるのは、3,000人程度だそうです。
こちらから参加したいと申し出るのではなく、伊勢神宮からの招待となります。
人伝に聞いたところによると、
政財界、その他社会的に貢献された方々だそうで、つまり会長・社長、議員、文化功労受章者など。
あとは、第62回においては、女優さんや、神道系の大学教授なども参列されたとのこと。

興味深いのは、米国生まれの日本文学研究者 ドナルド・キーンさん(享年96歳)。
91歳で四度目の参列!
31歳で初めての参列、その後、51歳、71歳、そして、今回の91歳。
しかも、89歳のときに日本人に帰化されたんだとか。
ほんとに日本が好きなんですね~。

日本文化を世界に広められた功績をお持ちで、その功績が考慮されたのでしょうか。
日本人であっても一度の参列もできずに、人生を終える人がほとんどである中、外国人で参列が叶っていらっしゃる。
本当にうらやましい限りです。

※ドナルド・キーンさん著書『知の巨人、日本美を語る! 』

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第62回「瀧原宮」の遷御の儀

瀧原宮は、内宮(皇大神宮)の別宮で、宮域には瀧原宮(たきはらのみや)瀧原竝宮(たきはらならびのみや)の2つの別宮が並立しています。
さらに、瀧原宮所管社が3社(若宮神社、長由介神社、川島神社)があります。

内宮における「本宮」と「荒祭宮」の関係と同様に、瀧原宮は天照皇大御神の和魂(にぎみたま)、瀧原竝宮は天照皇大御神の荒魂(あらみたま)を祀るとされています。
若宮神社にはご神体を入れる『御船代』を納める御船倉(みふなぐら)が併設されていますが、御船倉のある別宮は瀧原宮のみとなっています。
平成25年の外宮・内宮 本宮の遷御が終わると、平成26年より別宮・摂社等123社の遷御が随時おこなわれていきます。

【 第62回式年遷宮 瀧原宮の遷御の儀 】
 
平成26年11月7日  遷御の儀 参列日程

18:00 遷御奉拝(着席)
瀧原宮に準備された奉拝席に着席し、
儀式の開始まで待ちます。

20:00 参進(開始)
いよいよ祭事が始まります。

22:00 終了

参加者は、正装。
屋外ですが、礼として、コートは脱ぎます。

ありがたいことに、雨風もなく、とても穏やかな夜なので、11月ではありますが、寒さはあまり気になりません。

灯籠の明かりなどが全て消灯されます。

天の岩戸伝説にならい、
「鶏鳴三声(けいめいさんせい)」の儀式として、 鶏の鳴き声を模した、開始の合図「カケコー!」が3回発せられます。
 
ちなみに、
内宮系は、「カケコー」
外宮系は、「カケロー」
となります。
 
胸の高鳴りも最高潮に近づきます。
 
夕方6時から8時まで いまか、いまかと待ち続け、 儀式開始から心臓がドキドキし、わくわくが止まりません。

すっかり周囲は暗くなり、静寂の中、玉砂利を歩く神官の足音だけが聞こえてきます。
  
先頭は、大宮司
続いて
少宮司、禰宜、以下奉仕員となります。
 
松明(たいまつ)と提灯(ちょうちん)のほのかな明かりを頼りに参進してこられました。

旧社殿に到着。
大宮司が祝詞(のりと)を奏上した後、ご正殿の御扉を開きます。

権禰宜が召立文(めしたてぶん)を読み上げ、いよいよ準備が整いました。
 
タイマツの火が消されます。
 
あたりは真っ暗になりますが、今晩は天気が良く、月明かりがほのかに照らします。
 
月明かりに浮かぶ社殿と木々がとても神秘的で感動的です。
 
感覚が研ぎ澄まされ、タイマツを消した際の残り香も感じられます。

そして

いよいよ御神体が運び出されます。

ご神体は、「八咫鏡(やたのかがみ)」で「仮御樋代(かりみひしろ)・仮御船代(かりみふなしろ)」と呼ばれる木箱に収められているとのこと。
その周囲を「絹垣(きんがい)」と呼ばれる白い絹の幕で囲われ、その中を見ることはできません。

参考資料写真

私たちの目の前を御神体を御遷しになる参進の隊列が通過されます。
 
来たーー!!
 
思わず、心の中で叫びます。
 
ドキドキが最高潮MAXに達します。

御神体(と御装束神宝)は、先ほど書いたとおり、白い大きな布で覆われているので、中がどうなっているのかは分かりませんが、それゆえに想像が膨らみます。
無事に新しい御正殿に到着された後は、入御され、御神体・御装束神宝を奉納されます。

全てが整った後、新社殿の御扉が閉じられます。

最後に、大宮司が祝詞を奏上され、奉仕員一同、拝礼して終了です。

この日は、瀧原宮と瀧原竝宮の2つの社殿について遷御の儀がとりおこなわれます。
2回、奉拝させていただくことができました。
とっても幸運でした。

そして、祭事が滞りなく終了し、
私たちは、奉仕員一同が退下されるのを見届けます。

終わったのが夜10頃でしょうか。
 
あっという間のできごとで、
この世のことでないような不思議な感覚を味わうことができました。

この晩は興奮さめやらず、なかなか寝付けない夜となりました。

さて、
翌日は、天皇陛下からの御供物(幣帛)を奉る祭事がおこなわれ、神官参員による参進の様子を拝見しました。

ただ々、感謝の気持ちでいっぱいです。

参進の儀
「遷御の儀」の翌日の瀧原宮
「遷御の儀」の翌日の瀧原宮 (旧社殿)
「遷御の儀」の翌日の瀧原宮 (新社殿)
「遷御の儀」の翌日の瀧原宮 (奉拝席)

神宮公式HP
http://www.isejingu.or.jp/sengu/the62nd/index.html

 

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