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      2021/10/11

おすすめの舞楽

 

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蘭陵王(らんりょうおう)

六世紀頃、中国北部のあたりに「北斉」という国があった。そこの皇族の一人に蘭陵王「長恭」(ちょうきょう)という人物がいた。
蘭陵というのは中国の地名で、蘭陵王というのは、そこの王族。

蘭陵王長恭は、勇猛な軍人だったが、その外見は気品のある美男子だった。
いわゆる今でいう「イケメン」だったらしい。
しかし、イケメンというのは、戦場ではどうも指揮官としての威厳が物足りなかったようで。
そこで、彼は戦場用に迫力のある恐ろしい面を作り、毎回それをかぶって出陣した。
この『蘭陵王』の舞いは、長恭が面をかぶって奮戦している場面だというのが伝説として残っている。

長恭は中国の「史書」に出てくる人物で、北斉の軍を率いて金庸城で周の大軍を打ち破った史実に基づくとされる一方で、ベトナムから日本へ伝わったものだとする書物も見られる。
南アジア系の「沙陀調」という調子から成ることや「蘭陵王」が昔の楽書では林邑(りんゆう)楽のひとつとされていることなど、ベトナム説もありうる。
※ 林邑(りんゆう) :ベトナムのこと

物語のダイジェストは、こちらのYoutube動画でご覧ください。

全23巻セット のDVDもあり、[レンタル落ち]でよければ1万円程度で購入もできます。

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私自身、大好きな舞楽の1つですが、宝塚歌劇にても「蘭陵王」をテーマにした公演がなされるなど、人気の高さがうかがえます。

ちなみに、宝塚歌劇の「蘭陵王」もAmazonでレンタル視聴できます。

蘭陵王-美しすぎる武将-(’18年花組・KAAT神奈川芸術劇場・千秋楽)
舞楽「陵王」(雅楽「蘭陵王」)
※盛り上がるのが開始後10分あたりから。

陪臚(ばいろ)

鉾(ほこ)と楯(たて)を持ち、剣を帯びた4人の舞で、「入場」、「破」、「急」の3つの部分から成る。

最初、「平調」の調子で舞人が登場し、向かい合い、楯と鉾を置いた後、「破」(平調の陪臚の曲)が演奏される。

この曲の途中から太刀を抜いて舞い。
破が終わると楯を置き太刀を納め、「沙陀調」音取の短い曲が奏される。
その後、「急」(新羅陵王急)が始まり、その曲の途中で鉾と楯を持って舞う。
最後は入綾で舞台を下りる。

この曲は起源が南アジアとされる。
奈良時代に天竺(てんじく:今のインド)の婆羅門 僧正と林邑(りんゆう:今のベトナム)の仏哲という2人の僧が日本へ伝えたことが、正史、日本書紀に書かれている。
婆羅門 僧正は東大寺大仏の落慶法要で導師を務めた人で、落慶法要ではこの陪臚も上演された。
インドとともにベトナムも当時高い文明を持つ仏教国だった。

古来、戦勝祈願の曲であり、出陣の前にはこの曲を演奏したと言われる。

舞楽「陪臚」
※メインの陪臚は開始4分後あたり。
17分後あたりにて、最後は一列になって順に舞をやめ、
退場していくという特殊な演出も見どころ。

納曾利(なそり)

別名「双竜の舞」とも言われる。

龍を表す面を付けて舞う。雌雄の龍が遊び戯れるさまを舞にしたと言われている。
この舞は、昔は、二人で舞うものを『落蹲(らくそん)』と言い、一人で舞うものを『納曾利(なそり)』と呼んだが、現在では逆で、二人で舞うものを『納曾利』と言う。

曲は「破」と「急」の二つの部分から成る。
開始から二人が向かい合ってひざまづくまでが「破」、続いて唐拍子というテンポの良いリズムで「急」を舞う。

ちなみに、『源氏物語』の「蛍」、「若菜上」、「若菜下」において、『落蹲』として登場する。


舞楽「納曾利」
※こちらの舞も長時間であるため、時間のない方は、開始後10分あたりからの閲覧がおすすめ。
 

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